竹工芸作家に欠かせない素質、みつけた

竹工芸作家への道

教室に通って課題にとりくむことに慣れてきた私。いつの間にか重大な間違いをしていました。今回のブログでは、竹をはじめて2年ほどの私が気付いた、今後の私にとって、とても大事なことについて書きました。ここで気付いてホントよかった^^

課題ごとに出会う初めての技法

はじめての麻の葉編みと
コテを使ったヒゴ曲げ

前回のブログの時の初級第五課題【白竹亀甲編み盛りかご】の後、第六課題の【麻の葉編み 手付き盛りかご】に進みました。
麻の葉編み 初めてです。
[麻の葉]というのは日本の伝統の模様のひとつです。襖紙とか畳縁にもよく使われてきました。品が良く華やかな感じで以前から好きな柄です。私の仕事のインテリアデザインでも麻の葉模様の障子を何度か使いました。
これが麻の葉文様。きっとどこかでご覧になったことありますよね。
私がインテリアデザイン担当させてもらった旅館の廊下とラウンジの間に入れた麻の葉柄の障子です

竹編みの麻の葉模様、きれいな柄ができるのはいいのですが、編むとなるとややこしい・・・編み始めたら「お願い! 今話しかけないで!」って感じです。

底から側面を立ち上ていくところがこの籠の難しいところ。

これまでの課題でつくったものより角がかなりシャープ。こういうシャープな角度は火で温めた鉄のコテを使って曲げます。これも初めてです。
コテをガスコンロなどの火で温めるのですが、コテが熱くなりすぎているとヒゴが焦げたり折れたりするので、熱したコテをベニヤ板などに当てて、その焦げ色の付き具合でコテの温まり具合を判断してヒゴに当てます。
そのコテで曲げたいところを撫でるように触れて、ヒゴが柔らかくなったところで曲げたい角度に曲げます。

なんともアナログな勘だけがたよりの作業・・・。めんどうなようだけど、これが良いんです!  アナログ大好き^^

完成したのがこちらです。
自然の枝を使った持ち手も良い感じです。満足、満足(^o^)

はじめての網代編みと籐の火曲げ

そして次に取り掛かったのは初級第七課題【網代編み 銘々皿】。これが初級の最終課題です! やっとここまで来た! と思うとテンション上がりました(^o^)

お皿の底部分は網代編みです。
生地を編むのはとても楽しい♪白竹・虎竹・黒竹の色の異なる3つの竹を使います。
色の違うヒゴをどこに入れるかで全然違うデザインになります。楽しいです♪
[黒竹のみ][白竹+黒竹][白竹+虎竹]の3つの生地を作りました。

さてさて、ここまでは順調だったのですけどね・・・この課題の難しいところはなんといっても縁です。
縁の材料の籐を丸く曲げる → それを2つに割く(上縁と下縁にわける) → その割面を滑らかに削る → 合せをつくる → 合せを接着 → 割面を黒マジックで塗りつぶす。

こんな手順で縁をつくります。
これをやって思ったことは、私って雑かも・・・・です。
はじめてすることだから難しいということもありますけれど、
慎重に丁寧に、それぞれの段階の作業で完成度を求めてやることが、ほんとに大事なんだと思いました。
「こんなもんかな~」と適当に自分に甘くやっていると次の作業がうまくできないというか、ものすごく時間がかかったり・・・結局、前の段階や更にその前の段階の作業からやり直すことになったり・・・・いやはや・・・大変でした。
自分の作業の合格ラインをぐっと上げないといけないことに気づいた次第です。

先人の知恵と工夫に感服

七転八起的な感じでなんとか、なんとか出来上がった縁に生地を挟んで生地と縁を固定したら完成です。上縁と下縁があるから横から見ると隙間がみえるわけですよ。その隙間を隠すために使うのが竹芯です。竹芯は竹から削りだした直径1mmぐらいの細い棒で、これを縁と同じ円に火曲げしたものを上縁と下縁の隙間に合わせて、そして籐ヒゴでかがります。

竹芯を縁と同じ円に曲げるって簡単に言いましたけど、これがなかなか形が合わない・・・何回も曲げ直しているうちに焦げたり、折れたりで初めに用意していた竹芯材料が足りなくなり、材料からとり直したりで、とっても時間かかりました。

そうして、なんとか・・・やっと完成したのがこれです!

家に遊びにきた友人にお茶出す時に「この茶托、上田作ね^^」と言うと、みんな「えっ! すごっ!」って驚いてくれるのだけど、自分でみると、あっちもこっちも不完全で反省することばかりの課題でした。

それにしても、竹工芸品は全て自然界にあるものから材料とってつくられているのですね・・・。昔の人の工夫、知恵、センス、根気・・・すごいなーって、改めて感心しきりなのでした。

竹工芸作家に必須な素質 追及する心・姿勢

初級第七課題でつくった銘々皿は、失敗箇所だらけで我ながら稚拙な出来ですが、一生身近においておこうと思っています。とても大事なことを教えてくれたからです。

それは、《竹工芸作家に必須な素質は追及する心・姿勢》だということ。ここまでの私には、それが全然足りていなかったです。作業途中に先生方にみてもらうと、私が気付かなかった点や、本心では気付いていたけど見ないふりしていたような点をいっぱい指摘してくれます。その完成度を高めようとする姿勢がすばらしく、また、そんな小さな差に気づく目がすごいなーと、尊敬の気持ちでいっぱいです。
それが良い作品を創り出すモトですよね!

課題の目的を見誤っていた自分に気づく

第七課題でたくさんの失敗しながら、また、先生方の作品作りへの姿勢をみていて気が付いたことがあります。それは、私はいつのまにか課題の作業に取り組む時の意識の焦点が変わってしまっていたこと。課題は訓練・練習なんです。そもそも初めてやることばかりなんだから時間がかかるのは当然だし、失敗してやり直したりすれば、更に練習できるわけで、私にとってプラスなことですよね。それなのに、いつの間にか早く進める・課題を早くこなして次の課題、次の課題と進めていくことに意識の焦点を合わせてしまっていました。遠くから通っていて交通費もすごくかかっていることもあり、時間を有効に使いたい! という気持ちが行き過ぎてしまったのだと思います。反省です。気付いてよかったです。
これからは「時間をいとわず丁寧にやって、ちゃんと身に付けていく」に焦点を合わせて先生方と同じレベルの作家マインドを自分のものにするぞ! と思ったのでした。

まとめ

 ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
今回のブログでは竹をはじめて2年半ほど経った頃のことです。(今日現在は3年半ほど経っています。) 慣れてはきたけれど竹の世界は深―く、課題ごとに新しい技法に出会います。中でも【網代編み 銘々皿】が難関でめげそうだったのですが、そのおかげで気付いた大事なことについて書きました。
それは《竹工芸作家に必須な素質は追及する心・姿勢》だということ。そして、その作家マインドを自分のものにするには課題には「時間をいとわず丁寧にやって、ちゃんと身に付けていく」に焦点を合わせて取り組むことです。

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