竹工芸作家への道スタート 初めての教室

竹工芸作家への道

今回のブログでは、初めて教室に参加して最初の課題作品を仕上げるまでのことを書いています。それまで全く無縁だった世界に入って感じた驚き、嬉しいこと、気付いたことなどです。

初めての竹工芸教室

   
教室に申込してから8ヶ月。2021年8月、1回目の教室に参加しました。
大阪で朝10時からの教室に間に合うように金沢を出ますので、その日はかなりの早起き。
家を出る頃は朝のはじめの時間です。朝焼けも美しく、空気は涼やか♪ 今日から! と思うと早起きなんぞなんのその、緊張とわくわくの気分でした^^

受付を済ませて教室の中に用意していただいている私の席につきました。
席に「竹工芸教室技術指南書」とその日使う道具が置かれていました。

この「竹工芸教室技術指南書」というテキストは工房の先生方(竹雲斎工房の弟子の方々)の手作りです。この時はわからなかったのですけれど、習い始めて1年半ほど経った今はこのテキストのありがたみがよーくわかります。先生方も最初は私と同じように全くの素人だったわけで、同じ道を歩いたからこそわかる、かゆい所に手が届くようなアドバイスがいっぱいなのです!  テキストを作ってくれて、本当にありがとうございます!!

竹工芸教室 初級第一課題 亀甲編小物入れ

こちらの教室では《初級→中級→上級→奥儀》とランクアップしていくのだそうです。
まずは初級の第一課題 亀甲編小物入れ からです。亀甲編竹工芸の代表的な編み方のひとつ。これができるだけでいろいろな物が作れるようになると聞いてわくわくです(*^_^*)

初めて触る竹工芸専用の道具たち

第一課題が終わるまでは工房の道具を使わせてもらって、第一課題が終わる頃にマイ道具を購入するのだそうです。

竹割包丁(写真上側)と幅取り小刀(写真下側)は竹工芸独特の刃物ですね。
工場生産品でなく刀鍛冶の人がつくった刃物を手にしたのは多分初めてだったのではないかと思います。第一印象としてかっこいい!人の手で作られた物には気がこもっている感じがして、やっぱりいいですね~(*^_^*)

竹工芸のキモ 竹こなし

竹工芸とか竹細工というと、編むことを思い浮かべる人も多いとおもいますが、その前に その材料である竹ひごをつくるという作業が必要です。それが竹こなしです。
 
以下が竹こなしの流れです。
竹を切る
必要な長さに合わせて切ります。
   ↓
墨付け
竹の外周に必要なヒゴの巾+αの寸法で印をつけます。
   ↓
割り込み
墨付けの印に合わせて竹を割ります。
   ↓
剥ぎ(はぎ)
必要なヒゴの厚み+α寸法を目指して竹の皮と身を剥ぎます。
   ↓
幅取り
必要なヒゴの幅を目指して幅を調整します。
   ↓
うらすき
ヒゴの厚みを調整します。
   ↓
面取り
ヒゴの皮側の角を落とします。出来上がりの表情が柔らかくなります。

やってみて思ったことは、
まず、割りと剥ぎで使う竹割包丁が重い!
30年近く設計・デザイン業をしてきた私は鉛筆と本、サンプルぐらいしか手に持っておらず、こんな風に左右の重さがアンバランスなものを長い時間持ったことがなかったのだと思います。とても手首に負担がかかったようで、この後数日間痛かったです。

続けられるかふと不安を感じたりしました。
でも、今、1年半続けてきてそんな痛みもいつの間にか感じなくなっていることに気が付きました^^
人間の体って、することにちゃんと適応して進化してくれるのですね! まだまだこれから進化できるということです(^o^)

剥ぎが難しい!

そして、この一日目の教室で一番感じたことは剥ぎ(はぎ)がとても難しいこと。

今回必要なヒゴの厚みは0.45mmなので、1回目の剥ぎで1.5mmぐらいに剥いだものを0.55mmぐらいに剥ぐのです。
「えっ?」って思いませんか?

1.5mmも結構薄いですよね・・・・そこに包丁を差し込んで0.55mmにする・・・??
初めて聞いた時、そんなことできるの?? って感じでした。

まず包丁が差し込めない・・・なんとか差し込めても剥いでいる途中で厚みが妙に変ったり、最悪ちぎれたり・・・。本当に苦労しました。肩も目も凝りまくり・・・。

0.00mmの世界 竹工芸の精度におどろく

剥ぎだけでなく幅取りやうらすきの段階でも0.00mmレベルで寸法をチェックします。

これまで建物や家具の設計図面を扱う仕事をしてきて、寸法は全てmmで記されていました。結構細かい仕事だと思っていましたので、0.00mmレベルを追及する竹工芸の繊細さに驚きました。別の言い方をすると、人の目や手の感覚でそこまでできるってすごいことですよね!

第一課題やっと完成!


第一課題の亀甲編小物入れ、なんとか完成しました!!
ってさらっと書きましたが、1回目の教室から出来上がるまで、半年以上かかりました。。。。

「こんな小さいのに!??」  って驚くかと思うのですが、
とにかく必要なヒゴの精度になかなか合わせられなかったのです。
厚いと思って更に削ると薄くなりすぎたり、細くなりすぎたり、1本の中で厚みの差が出すぎたり・・・。でも、このくらい大丈夫なんじゃないかな・・と思っていると、編む前の先生のチェックでこれは使えないと指摘をいただいて作り替えたり・・・ヒゴの精度はとても大事なのでした。

ほとんどの竹工芸教室が「ヒゴづくり」を教えていない理由

教室探しをしている時、いくつもの教室に問合せてもヒゴづくりから教えているところがなかった理由は第一課題が終わる頃には十分にわかりました。

ヒゴづくりはとても難しく時間がかかります。
出来上がりの形が見えてこないので、楽しい作業ではないです。
籠が好きでちょっと趣味でやってみたいと思う人がヒゴづくりから始めると、たいていの人はやめてしまうかも・・・と思います。
長い時間がかかるので教える側もとても大変だと思います。

趣味講座なら、すぐに形になる編みから始める方が正解だと思います。
教室がなかなかみつからなかったこと、納得でした。
そして、ヒゴづくりから教えてもらえる工房に出会えたことに感謝です!

まとめ 手仕事の魅力

こうやって書いてみても思うのですが、ヒゴづくりの部分だけをみても工程が多いですよね。一つの工程の中にも更に数工程があります。
竹工芸ってなんて手がかかるのでしょう!!
気が遠くなりそう・・・と思いましたけど、だからこそ竹に限らず手仕事には作った人の気がこもって、言葉では表現できない美しさとか勢いとか温かみを纏うのでしょうね。そんな風に思いました。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございます(^o^)

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