50代になってから0から始めてプロの竹工芸作家を目指す私の現在進行形のリアルストーリーです。
お伝えするのは竹工芸の魅力と人生の第4コーナーからゴールまでを有意義に幸せに生きるために前向きに進む日々のあれこれです。
今回は「竹工芸作家を目指そう!」 と思ってから実際に習得のスタート地点にたどり着くまでのことについて書きました。
目次
先生を探す
竹工芸の作家になろう! と思ったものの、どこで習えるのか、どうしたらなれるのか、全く知りませんでした。
あったのは「竹工芸の作家になって人生のゴールまで楽しく暮らす」という想いだけ。
ここから実際に道具と材料に触れて練習を始めるスタート地点が本当に遠かったです。
地元金沢に養成校あり
習えるところを探し始めてすぐにわかったことは、私が住んでいる金沢市には伝統工芸のひとつである竹工芸の職人を育てるための研修制度があること。
そして、毎年募集しているわけではないのに、その時ちょうど募集していたのです !
これだ!! と思ったのですが伝統技術を伝えていくための制度ということで年齢制限があり、私は少しのことで対象外なのでした。。。。
「そこをなんとか・・・」と金沢市の担当者にかなり粘って申し入れてみたのですが残念ながらダメでした・・・・。
その時に金沢市のその担当者さんが、そんなに竹工芸をやりたいのであれば作家さんに個人的に習えないか問い合わせてみてはどうかと研修校の講師の方の連絡先を教えてくれました。
早速連絡をとり、会いに行ってお話しをさせてもらったのですが研修校の講師だけでも忙しく、その他に個人的に教えるということはできないということでこちらもダメ・・・・。
個性が違う全国各地の産地
その後は、ネットや書籍で竹工芸の作家さんをさがしました。
その中で、日本にはいくつかの主な産地があること、
産地によって個性があること、使う竹も違うこと(採れる竹が違うから。)
どんな風にいままで伝えられてきたのか、
多くの作家さんはどんな風にして作家になったのか、
竹工芸で大事なのは「編む」こと以上に「ヒゴづくり」であることなど、
いろいろ知りました。
現在活動されている作家さんの多くは大分にある日本で唯一の竹職人養成校の出身であることもわかりました。
そういえば、私が一目ぼれした竹のカバンの産地も、確か大分だったよね・・・と思い出して、思い切って大分移住か!?と思ったりしました。
↓一目ぼれしたカバン
しかし、その養成校も年齢制限があり、私はその制限をはるかに超えているので入れないことがわかり、これもダメ・・・。
年齢の壁
ここでもまた年齢の壁。
50歳半ばを過ぎると社会の中で未来への期待のない存在なんだな・・・と感じました。
私は新しいことを始めるには遅すぎるのか?
確かに早くはないと思う。
「もう遅い」が世間の常識かもしれないけれど、そんな根拠のない常識に負けたくないと思いました。
いつから何をやってもいいはず! と思って先生探しを続けていました。
作家さんにアプローチ
ネットの時代ですのでSNSやホームページ経由で何人かの作家の方に連絡をとることができました。
まずは石川県、富山県の作家さん・・・
更に範囲を広げて長野県や東京の竹工芸教室にも問い合わせました。
遠いところでは岩手県にある工房も考えました。
作風が好きな岩手在住の作家の方がおられて、真剣に検討しました。
しかし、私が住んでいる北陸とは気候が違うので材料になる竹も違うということがわかり、先々作っていくもののことを考えると違うなぁ・・ということで断念。
メールや電話でお話をお聞きしたり、石川県内に工房をお持ちの作家さんのところに訪問させてもらうこともできました。
きれいな作品もみせていただけて、その繊細な美しさに私もつくれるようになりたい! という思いを強くしていました。
「ヒゴづくり」を習えるところは希少
習えるところを探す中でわかったことは何人かの作家さんは教室も開いておられるのですが、いずれも教えているのは「編み」だけであること。
「ヒゴづくり」は教えていらっしゃらないのです。
その時は「なぜ?」と思いましたが、その理由は実際に習い始めてみてよくわかりました。
それはまた後々のブログで。
しかし、竹工芸の本を何冊か読むうちに良い作品をつくるには良いヒゴが作れることが必須なんだと感じていましたし、プロの作家になるんだから一番の土台であるヒゴづくりからしっかり身に付けたいと思っていました。
だから、あちこちに問い合わせてもヒゴづくりは教えていないという答えが返ってきたこの頃は本当に行き詰った気持ちでした。
これが竹を割って作った竹ヒゴです。
作るものによって長さ・幅・厚みを変えてつくります。
そんな時お会いした作家さんから「養成校の同期の者が勤めている大阪の竹工房でやっている竹工芸教室はヒゴづくりから教えている。」とお聞きしたのです!
早速問合せして、その翌月の体験教室に参加させてもらうことに !
体験教室に参加。
やっと実際の竹に触れるところまで来たわけです。
工房の中も見学させてもらって、「やっぱり竹やろう!! 」とあらためて決意!
師匠は四代目 田辺竹雲斎先生。
工房内に飾られている初代から現在の四代目までの作品が本当に素敵。
これが竹? と思うような繊細な細工のもの、
反対に力強くダイナミックなもの、
重なり合うヒゴがつくる陰影の美しいこと。
6年前から通っているという先輩生徒の方が作っている作品もとてもきれい。
がんばれば5-6年でこんなのが作れるようになるんだ! と思うとわくわくしました。
アナログが魅力の竹工芸
ろうそくの火を使ってヒゴを曲げている人、
漆で色付けしている人、
編んでいる人・・・などなど。
工房のあちこちでいろいろな作業がなされていましたが、何一つとして機械化されておらず全てがアナログで手作業というのもとても魅力的に感じました。
そもそも私はアナログが大好きなんです。
インテリアデザインのプレゼンに使うイメージパースもずっと手描きしています。
手で描く、手でつくるからこそ出るゆらぎのあるアジが大好きなのです。
何もかもがデジタル化、機械化されて久しい時代の中で、全てを昔ながらの手作業で行う竹工芸。
それでしかできない竹工芸。
きっとこういうものこそが、何十年、何百年先も残っていくものなのではないかな。
そんな風に思って、すっかり魅了されて帰ってきました。
これはその体験教室で私が編んだ花籠です。(材料の竹ヒゴは工房の方で用意してくださいました。)
テーマは「祈り」。
無事、竹工芸作家になれますように・・・と願いを込めてつくりました^^
竹工芸教室に本申込
金沢と大阪。
通うには遠いので、少々迷いましたが申し込みました。
「竹工芸作家になろう!」と思ってから10ヶ月ほど過ぎていました。
「あ~・・・やっと習う場所が決まった、遠かったなぁ」と思ったのですが、ここからがまた遠かったのです。
希望者が多く順番待ちで「3ヶ月ほどお待ちください」とのことでした。
そこに更に新型コロナのために教室お休みなどが重なり順番待ちすること8ヶ月。
更に自分の仕事の都合で1ヶ月のびて2021年の8月、やっと1回目の教室に参加できたのでした。
習えるところを探し始めてから1年ちょっとが過ぎていました。
人生の残り時間を意識するお年頃の私にとって、もったいなく感じる長い時間ではありました。
でも、習えるところを探しつくした感がありましたし、そして何より田辺竹雲斎工房の作品の数々が本当に素敵だったので、すばらしい工房とのご縁に感謝しつつ、あせっても仕方ないよね~ と思って待ちました。
まとめ
ここまでお読みいただき、ありがとうございます(^o^)
今回は「そうだ! 竹工芸の作家になろう! 」と思ってから実際にその道を歩き始めるスタート地点までのことを書きました。
あらためて書いてみて、よく途中であきらめなかったな・・・とちょっと自分をほめたくなりました(*^o^*)
先生探しをしている過程で、趣味講座なら入るのに年齢は関係ないのですが、プロになるような技術を教えてもらえるところでは年齢が大きな壁なのだということを強く感じました。
わかってはいましたが私の人生はもう後半なんですね・・・、残り時間を意識することが増えました。
だから新しいことを0から始めるなんて無茶だ・・というのではなくて、「急がなくちゃ! 」という方向に気持が向いたのは幸いでした。
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